WebにおけるABAPオブジェクトS10フレームワーク

SAPの Web アプリケーション開発は、多くの場合、UI5、ODATA サービス、CDSなどの SAP が推奨するツールが利用されていますが、その基盤となる技術は非常に複雑です。しかし使用するオプションとして もっと単純で直接的な、開発工数の削減が可能な製品があります。 そのようなオプションの 1 つとして、当社のS10 フレームワークという開発製品があります。

S10 フレームワークは、SAP の技術であるABAP オブジェクトと、Web HTML の言語を直感的な方法で組み合わせてWebアプリケーション開発をします。Web 開発に必要なのは、普段利用されている HTML エディタと通常の ABAP 開発環境のみです。 グラフィック、マップ、言語表示やその他 Web サービスを統合するアプリケーションだけでなく、複雑なダイアログ アプリケーションを容易に実装することも可能です。

S10フレームワークの主要な概念を、下記の5 つの設計原則を使用して紹介します。

  1. HTML 要素と ABAP オブジェクトの連携

    追加のプログラミングやゲートウェイ サービスを必要とせず、HTML 要素と ABAP オブジェクト属性が名前によって相互にリンクされることです。

    下記の例で、ユーザーは顧客番号を入力します。 HTML 要素名は”kunnr” です。 この入力値は、有効な ABAP オブジェクトの同一名称の属性に自動的に転送されます。 同じ原則が HTML イベントにも当てはまります。 例えば、実行する ABAP メソッドが指定されているボタンがクリックされると、ABAPメソッドは select文によって、顧客データを読み取ることができます。そして、次のステップで ABAP オブジェクトの属性”name1″ が自動的に HTML ページに転送され、ユーザーに表示されるようになります。



  2. ABAPオブジェクトでのHTMLダイアログの設定

    すべての ABAP オブジェクトがユーザーと直接対話が可能であり、指定されたダイアログを使用できます。 例えば、顧客には、顧客の住所を変更するためのボタンが表示されます。 ボタンをクリックすると、最初にアプリケーションで ABAP メソッドを呼び出します。 そこから住所変更用のダイアログを含むオブジェクトやその他のクラスを使用できます。 対話型アプリケーションのモジュール開発には、このような仕組みが不可欠になります。



  3. SAPリポジトリの活用

    開発効率を高める SAP リポジトリを活用します。 この例では、SAP リポジトリを使用して、適切な言語のテキスト項目が自動的に生成されます。 下記の例では、国キーのユーザー入力で、ドロップダウン リストが自動的に生成されます。これは、SAP リポジトリの仕様に対応しており、追加でプログラミングする必要は全くありません。

    SAP リポジトリを活用することで、登録および変更トランザクションを実装する際の開発時間が大幅に短縮されます。品目番号を定義した変換Exitを含め、すべてのフォーマット変換も自動的に実行されます。



  4. 開発環境の選択

    各開発者が使用するツールを自由に選択できます。 下記の例では、マイクロソフト Visual Studio を使用しています。ユーザー インターフェイスの変更は、先に HTML ファイルを SAP システムにアップロードしなくても、PC でローカルにすぐに表示されます。

    同じことがABAP開発にも当てはまります。 従来の ABAP ワークベンチを選択するか、Eclipse ツールである ABAP ADT を使用して作業することができます。



  5. Fioriラウンチパッドでの実装

    同じアプリケーションをスマホやタブレット、およびデスクトップで使用できるレスポンシブ デザインのサポートです。 SAP ツールを使用すると、既製のアプリケーションを Fiori ラウンチパッドに統合できます。 つまり、同じアプリケーションをスタンドアロンで呼び出すことも、 Fiori ラウンチパッドのタイルで呼び出すこともできます。



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