新製品「UIログ」リリースの背景と目的

ユーザーアクションの定量化・分析によるワークフローの改善、開発工数の削減、UIの最適化

SAPシステムでは、最適化に必要なプロセスとステップを特定する多くのオプションツールが提供されていますが、ワークフローにおいて重要な側面であるユーザーアクションが非常に重要であるのにもかかわらず、ユーザーアクションの定量化ができませんでした。 ユーザーアクションを測定し分析することで、検討すべき最適化の候補を見つけ出すことが可能となります。UIログはこれらを実現するためのサポートツールとしてリリースされました。

S/4 HANAへの移行に際しては、大掛かりなシステム改修を行う、もしくは業務自体の改革を迫られることが多く、改修による影響や効果を見極めることが重要です。システム移行を円滑に進め、業務改革に合わせたエコシステムを推進し、自社中心のシステム管理と運用によるコスト削減、及び、プロセスの透明化による生産性を向上するには、ユーザーアクションの定量化による分析する視点が必要です。

また、UIログによりユーザーアクションを分析して、 最適化されたGuiXTスクリプトが自動生成されます。生成されたスクリプトをベースにさらに洗練された使いやすいものに変更可能です。これにより、ワークフローの改善、開発工数の削減、UIの最適化の実現が可能となります。

UIログによりプロセスの詳細をネットワーク図で表示した例

 

 

UIログの活用法

「UIログ」はインターフェイスを効率的に設計するための基盤として利用できます。
「UIログ」の3つの活用法について説明します。

活用法1:ユーザーアクションの測定と分析

測定データから、トランザクションに費やされた総消費時間と平均値が一覧で表示されます。また選択されたトランザクションに対する時間の分布がグラフで表示されます。特定のプロセスが原因で長い時間を費やしているトランザクションのデータをグラフで分析することで、課題を特定し、最適化のアイデアを導き出すことができます。

上記は選択されたトランザクションコードが色別で表示されたヒストグラムです。Y軸はトランザクションが呼び出された数で、X軸は時間間隔です。 ユーザーはトランザクションBPで最も時間を費やしたことを示しています。各トランザクションの時間は妥当な様に見えますが、よく見ると20秒を超えるトランザクションステップがあるようです。今後ユーザーインターフェイスを簡素化することによって効率化が可能かどうかを判断するために、この部分の調査をさらに進めていくことが可能になります。

 

活用法2:クイックアクセスメニューと統合画面の自動生成

測定データに基づき「クイックアクセスメニュー」、及び、「トランザクション統合画面」の自動生成も可能です。GuiXTスクリプトを自動的に生成し、必要なトランザクションへ遷移する「クイックアクセスメニュー」に、また入力項目を「トランザクション統合画面」に含めることが可能です。


「クイックアクセスメニュー」の例

下記は、測定データから自動生成された「クイックアクセスメニュー」の1例です。ユーザーはこの画面から統合されたトランザクション画面やアドオン画面にアクセスします。デザインの変更やボタンの追加もGuiXTで簡単に実現できます。

 

「トランザクション統合画面」の例

測定データから1画面に最適化された統合トランザクション画面(VA02)の例です。自動生成された画面を開発の基盤として、ここからさらに業務改善のための洗練された画面を構築していくことが可能です。

 

活用法3:システム間のプロセス比較テストに活用

“Detailed list”の表示を選択すると、各トランザクションの個々のプロセスでかかったシステム時間がすべて表示されます。そのため、SAP ERPシステムからS/4HANAシステムへの移行等、異なるシステムやリリースにおけるプロセスの比較が可能です。

“Detailed list” を選択すると、ユーザー時間とともにシステム時間が表示されます。これにより、システムの動作が遅いプロセス等についてさらに調査を進めることができます。